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いけばな随想
diary

花の地球 251005

2025/10/5

 物事の意味について、意味のある考え方をしてみようと試みた。
 自分にとって、初めは目に映る物事にも世界にも意味はなくて、経験に応じて自分が自分と関係付けたい対象に意味が生まれる。赤ちゃんの成長過程を眺めるとわかる。たとえば私の場合、25年間いけばなのことを考え続け、それを軸に頭と目を働かせてきたことで、青少年期には全く意識しなかった花木に意味が生じ、いけばなの世界観が広がってきた。しかし、一旦は意味を持った対象も、時間経過とともに捨てたり捨てられたりして、関係性の希薄化と併行して意味も失ってはいく。
 花に関係がある知識や体験を種や苗として、頭の中の地球儀にも植え付けていたら、あまり世話をしなくてもそれらは生長し、密林化して暑苦しいくらいの状況になってきた。意味が増殖して心身にへばりつき、それを重いと感じ始めたら、夢の地球儀世界の剪定時期である。
 現実世界の庭の植生は、周期的に剪定してやらないと虫が付いたり病気になったりする。私は今や“花の地球”に棲み、祖父と庭師が木を切らずに縁側で将棋を指していた様子を懐かしがる。

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