男性のいけばな 251022
2025/10/22
高市早苗首相が誕生し、テレビ局が街の人々にインタビューする。「女性初の総理大臣として頑張って欲しい」というような回答が、恣意的に切り取られているような気がして、日本のマスメディアのかねてからの後進性が浮き彫りになるのだった。それを中心的な話題にすること自体が、世界の先進国から30年遅れている。
最近は少なくなったが、25年前に「いけばなが趣味です」と言うと、女性は特に気に留めるでもなく「いいご趣味ですね」と返してくれたが、意外にも男性からは珍しがられた。
草月の家元は、男・女・男・女と継承されてきて、次の予定は男だ。たぶん自然な流れでこのようになっているので好ましいが、いけばな界全体で見ると、会員は女が多く家元は男が多い実態は、政治の世界以上に特殊なのかもしれない。
さて、紀貫之の『土佐日記』の冒頭は、「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとすなり」である。男が女のフリをして男の日記を書くという二重裏返しの設定に、取り換えのきかない男女の別があったことが表れている。千百年も昔の平安時代の話だという気がしない。