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いけばな随想
diary

枝ものと花鋏 251023

2025/10/26

 いけばなは「枝もの」が命と言ってよい。“線”の表現に欠かせないからだ。「葉もの」や「花もの」でも“線”を表現することは可能だから、必ずしも「枝もの」が必要だとは言えんだろ? と言うかもしれないが、力強い線やいびつな線、長い線や高さのある線は、枝ものでなければ太刀打ちできない。
 お世話になっている花店で、枝ものについてこんな話が出た。「もうねー、今ねー、ツバキかアセビくらいかな、確実にあると言えるのは」確かに他の店でも、その2つ以外はナツハゼかヤブサンザシくらいしか、枝っぽい枝がない。あとは、枝ものとは言い切れないフウセントウワタやベニアオイが、ここぞとばかりに並んでいるくらいなのだ。
 勅使河原蒼風は、「花がなければ土でもいける」と言っただけでなく、本当にあらゆる物をいけてみせたが、それでも私の心を掴んだのは枝ものの作品であった。
 そして忘れてならないのが、花鋏である。フラワーアレンジメントで使う細身のかっこいいハサミは、葉や花茎を切るには適しているけれど、枝ものと格闘する力強さはない。鍛えられた花鋏の出番である。

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