いけばなと生け花 251010
2025/10/10
ひらかなを平仮名と漢字で書くのは、おかしいと言えばおかしい。ひらがなと濁音を交えて書くのも嫌う人がいる。いけばなは、生け花と書かれることが多く、活け花というのもたまに見かける。いけばなとひらかなで書くのは草月流の習わしである。濁音を交えず「いけはな」と書く方が、日本語の伝統に則っているかもしれないと心の片隅で思う。
私は25年間、いけばなと書きいけばなと発音してきたので、今さら生け花と書かない。代々の家元がいけばなとの表記を変えずに継承しているのには、きっと理由があるのだと思っている。間違っていたら恥ずかしいので私の解釈を他人にほとんど言わないし、またそれを家元に聞こうとも思っていない。
ただ、ひらかなで取り組むいけばなと、漢字交じりで取り組む生け花とは、何か本質的に異なるように思う。生け花には凛として背筋の伸びた感があるのに対して、ひらかなのいけばなには、何かボーとした雰囲気がある。「どうだっていいよ、思うようにやってみな。ただ、責任は自分で取れよ」みたいな、遠巻きに見て遊ばせてくれそうな、融通無碍な感じだ。