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いけばな随想
diary

いけばなは未完の物語 240202

2024/2/2

庭の椿が花をつけた。その小事件は、まだ物語にはなっていない。その花を、あした教室で使おうと思っていたのに、翌日それは、闖入者に枝ごと切り取られていた。このように、椿と他者との関係が生まれたら椿の物語が1つ始まる。

同様に、花が花としてあるだけでは、いけばなにはならない。椿の花が思いがけない花器に挿されたというふうな、庭で枝についていた時とはまるで違った大きな変化が椿にもたらされた時、それは物語として新しい命を生き始める。

いけばなは、こうして改めて生き始めるので、予想できるように、固定化された「作品」としてのゴールを迎えられない。完成の時を見ることのない、ネバー・エンディング・ストーリーなのである。

たとえば、先日、ボケの枝をいけた。古くなった菊と合わせていたが、菊が弱ってきたのでバラに入れ替えた。今度はバラの首が垂れてきたので金魚草に替えた。ボケの枝は、枯れる花の数以上にふくらむ蕾の数が増え、満開に近付いている途中だ。

ヨーロッパでも、花瓶には花を入れる。全体的に萎れ始めたら、ザバッと全部抜いて短い物語は終わる。

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