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いけばな随想
diary

いけばな消える 250106

2025/1/6

 交響曲のようないけばなもあるだろうし、ビッグバンド・ジャズのようないけばなも、4人組ハードロックのようなのも、2人組フォークソングやソロでギターの弾き語りみたいなのもあるだろう。歌や曲は残るのに、いけばなはそうはいかない。消える。まあまあ悲しい。
 しかし、いけばなが本来持つ侘びたり寂びたりした感じというのは、作品の大きさや派手さとは別の次元にあるように思う。日常生活の感覚から離れて、利便性や効率などとは無縁の境地にある。それだけではなく、これまで手元にあった物や人がなくなる侘しさ、なくなるだけでなく身の回りの物や人が減っていく寂しさなどを、自虐的でなく積極的に受け入れて、哀しさこそを愛おしく思う心境が侘び寂びだ。
 この境地は所有欲の対極だから、とても困難な道だ。本でも、CDでも、私は手元に自分のものとして置いておかないと気が休まらないタイプだ。それなのに、花器は所有できても、いけばなは所有できないところに未練が残る。画像映像としては残せても無くなるとわかっているいけばなを、夢見心地でやれるようになりたいものだ。

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