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いけばな随想
diary

いけばな競作 251026

2025/10/26

 県民文化祭・いけばな展は、多くの流派の作品が並ぶ。お客様の屈託のない見方には好感が持てる。とりわけ自分の作品を見入っている人がいると、「私のです!」と言って近寄りたい欲求が起こるが我慢する。
 同門の作品を眺める二人連れとかがいると、すうっと近寄って声を掛ける。「魅力的な枝ぶりでしょう?」他人の作品がネタならば、初対面の人に対しても積極的にコミュニケーションが取れる。プロならば自分をもっとアピールしなくてはいけないと思いつつ、自分の作品には引っ張っていかない。気弱な自分にがっかりする。
 作者の考え方やスタイルは流派の数だけあって、そして個々人の数だけあり、また、見る人の数だけ好みが分かれる。そんな中、私の同伴を厭わず、1時間半もかけて一緒にすべての作品をゆっくりと見てくれたご夫婦がいる。
 自分一人だとわからなかったことが、第三者と感想を交わすことでわかってくる。花材1本1輪へのこだわり、作品と見る人の距離、使う花材の種類と量、意匠と手業などなど。1つの流派だけで開催するいけばな展に比べて、面白さは3倍4倍増である。

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