よく見る人 250314
2025/3/14
私は考える人間で、見る人間ではない。自分にしか興味関心がないから、周りのものごとに対する興味が薄く、人に対する関心も低い。だから観察したり見入ったりするのもいい加減で済ませ、相手に対する質問もそんなに多くは出てこない。嫌な奴だ。
いけばなを教えていると、私が気付いていないことを生徒さんが発見することは多い。先日、マンサクの枝をいけようとしている生徒さんから、この枝のウラオモテはどのように判断したらいいか質問があった。「基本、太陽に向いている方がオモテでいいんじゃない?」といい加減に答えながら見ると、そのマンサクの枝に翻弄された。
マンサクの花は、グロリオーサの花びらと同じく後ろに反り返るように咲くのだ。つまり、枝ぶりのオモテ側は、花色のボリュームから判断するとウラ側と言ってしまいたいくらい地味なのだった。枝ぶりとしてのウラ側をオモテに出すと、黄色い花色が濁りなく映えるのだ。
どちらをオモテとして扱うかは人それぞれで良いわけなので、考えることよりも経験に倣うことよりも、よく見ることがいけばなの基本的態度なのだった。