シンプル 250104
2025/1/4
茶碗のようにシンプルだから魅力が際立つデザインとか、白菜&ベーコンのように簡単なのに美味しい料理には、心が踊ったり癒されたりする。部品の多い腕時計や食材の多いコース料理も魅力的だが、少ない材料で完成度を高める職人には頭が下がる。
いけばなは、生花を扱うという性質上、また、基本的にはコース展開ではなく1点完結なので、短時間作業が求められる。また、一期一会の場に設えられた伝統によっても、長時間同じ姿を保つことは求められなかっただろうし、移ろいが前提としてあったことも想像に難くない。シンプルで一瞬の表現を目指すのが、究極のいけばなだろう。
現代社会において、情報発信の対象が一気に拡張された。歴史も文化も信仰も習俗も体験も世代も異なる人々にも受け入れられたいという欲求に、危うく捕らえられそうになる。そうすると、いけばなも「盛り盛り」になる。
そうなることを戒めて、安い少量の花材でギリギリまで切り詰めた稽古も大事だと思う。断食やデトックスに取り組むことを、花生活に取り込むように? 私には、そこまでのストイックさはないけれど。