ジ・エンド 250625
2025/6/25
毎週TV放送される『ゴールデン洋画劇場』『金曜ロードショー』などを楽しみにしていた時期、映画館では2本立て・3本立ての上映が行われていたと思う。映画は庶民の代表的な娯楽だった。1980年代くらいまでに製作された映画の終わりに、洋画は「The End」、邦画は「終」と字幕が出て、観衆はホゥっと息を吐き肩の力を抜くのだった。
競技スポーツでは、ルールに従って試合は自動的に終わる。食事は、お腹が一杯になるか料理がなくなると必然的に終わる。
演奏や芝居の場合も、楽譜や台本が終われば終演である。そういう外部的な制御に拠らないいけばなは、どのタイミングで終わりにするか、絵描きと共通する課題だろう。どの時点で、ホゥっと息を吐き肩の力を抜くか。「このへんで出来上がり」と制作者がつぶやいても、どのへんで出来上がりとしたのか、見ている他人には全くわからない。見ているほうも、仕方なくホゥっと息をつく。
絵の場合は、これ以上絵具を載せられないという感じで終わるかもしれない。いけばなは、その時点でちょちょっと枝葉を整理し始めて、終わらない。