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いけばな随想
diary

UFOとナメクジ 240714

2024/7/14

旧友Nと会った。彼は昔、時々UFOを目撃していた。「今も見るのか?」と、私からは聞かなかった。

小雨交じりの昨日の朝待ち合わせて、Nが借地の山で手掛ける「森の幼稚園」へ案内された。林道の舗装も途切れた所で私の車は乗り捨て、年季の入った彼の四駆に同乗した。現場は文字通り森の中にあった。車を停めて彼は水色のバケツからビニール袋を取り出した。大ナメクジが1匹入っていた。「臭いんよ、こいつ」と言いながら、昨夜の大雨に流れ積もった落葉の上に捨てた。それは、すぐに2本の触覚のような目を伸ばして、ゆっくりと這い始めた。彼が1年がかりで間伐したり整地して建設中の小屋を感心して眺めているうちに、雨が激しくなったので山を降りる時、大ナメクジの姿はもうなかった。

彼に見えた円盤を、私は見たことがない。彼と私が出会った大ナメクジの個体も、多分世界中の誰も見ないだろう。

私は、自分がいけばなをするようになるまで、いけばなが目に入ることはあまりなかった。人は興味がある対象しか見ない。そのうえ、運が良くなければ、希少なものはますます見えない。

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