回り道 250607
2025/6/10
体力のない者が山に登るとき、最短距離で岩場を登って頂上を目指すようことはしない。なだらかな道筋を選んで危険を回避し、瞬発力を使わないよう心掛けると、結果的に回り道を選ぶことになる。
先日、会議のために東京へ行った機会に、思い切って草月流の本部講座を受けた。これまで選んできたハイキングコースではなく、アルペンルートの修行である。むかし芸北のどこかのスキー場へ行って、若さの故、無謀にもオリンピックコースを下ろうとしてエラい目に遭ったことを思い出す。当時は自分を客観視できないうえに経験則がないから、「できない」という判断ができなかったのだ。
私は教え子にも教えることが多くはない。責務を果たしていないというつもりもない。自身を振り返ってみて、時間をかけて自分で探して見つけた知識や技術は身に付くが、人から教えられて早く身に付けたものは、まるで壊れやすい鎧だ。付け焼刃も、すぐに刃こぼれする。
だから、先日のその講習でも安易に出来上がりを目指さず、研究の場と位置付けて、普段と違う選び方で花器と花材を選んで「遠回り」を心掛けた。