大人の風格 250605
2025/6/5
私の母方の祖母は明治生まれで、女子師範学校を出て10歳代で尋常小学校の先生になったという。私が尊敬するいけばなの州村衛香先生は昭和18年生まれで、やはり20歳を迎える前に人に教え始めていたと聞く。
現在では、教育課程で必要な単位を取って採用試験を通った者が「先生」と呼ばれて学校に赴任するし、私がいけばなを人に教え始めたのは20歳代どころか47歳だった。そして思うのは、先生と呼ばれる昔の人には若い時分から風格があったなあ、ということだ。
よく聞くのが、戦争を経験した世代は強いという感想である。私はそれだけだとは思わない。昔と今の一番大きな違いは、前例のないことをやらざるをえなかったか、前例に倣ってやるのが常道かの違いだと思う。勅使河原蒼風も凄かった。前例を凌駕する圧倒的な力を感じる。
そういう先人たちに共通するのは、他人と自分を見比べて世界一や世界唯一を狙うのではなく、他人のことは外に置いといて、自分自身の能力の限りを尽くして私がやらねば誰がやる? という自覚で、それが王や女王の風格を身にまとわせているのだと思う。