天才のセンス 250602
2025/6/3
教科書通りではダメ。これを習い始めの人に言うと混乱を招くので、どれくらい稽古が進んだ時点でそれを言うかは繊細な問題だ。
特にスポーツ分野には、それにふさわしい身体的素質を持った少年少女がいる。そういう存在を目の当たりにすると、天才じゃん! と驚かされる。誰にコツを教わったわけでもないのに、競技をしている姿が実に美しく無駄がない。音楽分野もセンスの良さがよくわかる。なぜだろう、素人の私が聴いても涙が出ることがある。
学芸においても、天才型の子どもに先生が自分の基準で誘導するような教え方をすると、小ぢんまりと優等生になるかもしれないが天才として開花しない。ただ大多数が凡人なので、普通はまず型を教えることが習う本人にとっても効果的だと思う。昔から「序破急」と言われるように、はじめのうちこそ急いではならないのだ。じっくりと熟成させる稽古によってセンスは徐々に磨かれ、後天的に天才に近付く。
いけばな界にも天才がいた。勅使河原蒼風である。天才はふつう一代限りなのだが、彼は流派を継承させて今日につないだ点で経営的にも天才だった。