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いけばな随想
diary

掘り下げる取組 240730

2024/7/30

いけばなについては、制作速度が問題になる。咲いていた花もしぼんでしまうからだ。生きた素材を扱って、そこに付加価値を付けるとすれば、料理であれば寿司屋を目指すのが適当だろう。

寿司屋が高額料金を頂戴できるのは、板前の冴えた腕前があるからで、その腕を持つに至るまでの相当量の経験が必要であることは間違いない。それも、漫然と作業を繰り返すだけではなく、考えて考え抜いて腕を磨く必要がある。馬鹿にはできない。そして客は、「へい、お待ち!」と、目の前で開帳されるたった数十秒のパフォーマンスに何千円も払うのだ。

結局そういうことである。目の前で繰り広げられるイベントは数分でも、そこに見える商品価値を生み出す数年単位の見えない鍛錬があるのだ。

結論としては、他人には見えない努力や創意工夫、価値観を、それとは感じさせず、そこにどれだけ凝縮して見せられるかという演出が、見せる芸術には必要だということである。いけばなの制作も、生花を用意するまでは何時間でも何週間でも準備できる。生花を用意したら、あとは板前のように鋏を振るうのみなのだ。

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