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いけばな随想
diary

数が力か? 250610

2025/6/11

 少年期に、プロレスごっこにハマっていた時期がある。ミル・マスカラスとかタイガーマスクとか、技が派手な覆面レスラーが子どもの私を喜ばせていた。インパクトのある姿かたちと技が観客を湧かせた。堅実で派手さのないレスラーはスマートかもしれないが、熱狂の対象にはならなかった。
 とすると「いけたら、花は人になる」という考えは、正しいけれど注目されない個性も肯定してしまう弱点がある。ショーマンシップを発揮し、目立つ個性を演じてこそ、受けが良い「映える」いけばなになるのではないか。衆目を集めるいけばなは、人目につかない場所でひっそり佇むいけばなよりも称賛されるのではないか。ほのかな悲哀よりも激情的な嘆き、ほほえみよりも狂喜乱舞!?
 世の中を席巻している投稿動画では、むしろやり過ぎたフェイク画像の方が世俗的な名声が得られることもあるようだ。資本主義が本質的に利益偏重であるように、資本主義的芸術は、ファンの数の多さやオークション価格の高さが評価の基準になる。
 数量的多さこそ価値というこの基準は、いけばな界をもじわじわと侵食している。

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