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いけばな随想
diary

時間遡行 250920

2025/9/20

 映画『予告された殺人の記録(ガルシア・マルケス原作)』を久しぶりに観た。ここ数日ボルヘスの小説を読んでいたので、2人の南米作家に共通する迷宮的世界にどっぷり浸かった。
 時間に素直に従っていると、1日は24時間でしかない。しかし、昔のことを思い出すなどして時間を遡れば、過ぎる時間と戻る時間がパイ生地のように何重にも重なって、体験的な延べ時間はどんどん長くなる。
 夢見る人を他人が見ても、その夢を体験できないように、いけばなを見て、それをいける人の時間は体験できない。手に取った花があと何日何時間で枯れ始めるか、いける人の意識は必ず未来へ先回りする。流木を使う時は、その流木がどこから流れてきたのか出生を想像する。コスモスなどは、1つの株に蕾もあれば満開もあり、散り始めている花も付いている。花の1輪1輪が別々の時間を紡いでいるので、私はそのすべてと並走しながら、花の時間を行ったり来たりしているのだ。
 音楽鑑賞は、演奏する人と聴く人が同じ時間を共有できるが、いけばなはできない。祭と同じで、いけばなはこっち側に来てこそ面白い。

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