猫と花 251001
2025/10/1
宇宙や深海に向けて、現実空間に対する人類のアプローチはどんどん範囲を広げ、未知の世界は減り続けている。子どもの頃は洞窟探検に憧れがあって、映画では人体内探検の『ミクロの決死圏』に食い付いたが、自分の身体や心理については大人になっても全然理解が深まらない。
最近、心が乱れることが多く、呼吸を整えようといろいろ試している。背伸び、深呼吸、暴食、深酒、散歩、猫の相手などをしてみて、いちばん落ち着いたのが猫の相手だ。
心が乱れている時に、いけばなは良くない。植物は泣いたり怒ったりしないから、彼ら花の声を聞くことなく人間の私の意思が強く出てしまい、自己表現することを優先してしまう。ところが、猫が相手の場合はそうはいかない。私がこちらのペースで対峙しても、向こうは絶対に合わせようとしてくれない。背後から恐る恐る距離を縮めて、尻尾の様子などからご機嫌を窺う必要がある。
そうして、声なき猫の声を聴き、私を同期させる気持ちで佇んでいると、私の呼吸が落ち着いてくるのだった。猫を通して自分に聞き耳を立てるような感じと言っていいだろう。