陰影礼賛 260201
2026/2/1
今日は護国神社での献花祭の日。境内の朝の空気は、冷たく冴え冴えとしていていた。そして、すべては太鼓の音で始まる。太鼓が鳴り止み無言の空間が演出されると、無音かと思われたその本殿には、遠くから車のエンジン音や鳥や人の声がかすかに聞こえ始める。もともとそこにあった音が、意識によって聞こえなかったり聞こえたりする。
本殿の奥に目を凝らす。陰影の多い建築なので、至る所に陰があり、影が映っている。奉献された神饌とそれらを載せた三方なども、それぞれに陰を纏い影を映す。陰や影には輪郭をぼやかす作用がある。煙や霧にも同じように実体をぼやかす作用があるが、光が弱くなり闇が強くなる陰影作用の方が、より神秘的である。
したがって、献納された花も、本殿の奥の方に置かれることで、距離的に遠くなると共に、陰に溶け込もうとしていることによって明瞭さを失い、神秘化される。明瞭さのないことが、むしろその価値を保っているのだ。そこでは、黄菊の黄色も絵具的に明瞭な黄色ではなく、奥の暗さに溶け込んで尚も黄色を感じさせるような、気配の黄色となっている。