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いけばな随想
diary

理解力 250519

2025/5/19

 分かりやすく言おうとすると、尾ひれを端折って簡単な言い回しになる。端的になればいいのに単純なだけの表現になってしまい、結局は真意が伝わらない。
 私は、鮮やかでなく大きくない花の方に好みが傾いている。これは、鮮やかで大きい花は好みではないと言っているのとは違う。「玉井くんはなぜ私に冷たいの?」と聞かれて困るのは、私は誰にでも温かくはないというだけのことだからだ。「政治家はなぜみんな嘘をつくの?」と聞かれたら、どんな属性を見ても常に本当のことだけしかしゃべらない人に出会ったことはないしさ、こう返すしかない。
 いけばなの良し悪しも単純ではない。論理だてて説明しても納得は得られまい。百聞は一見に如かずとか虎穴に入らずんば虎子を得ずというような、その人が直接的な体験を伴わない限り理解できないものが世の中には多い。
 いけばなには厳正なルールブックというものがない。ガイドラインを示すためのテキストはある。修行がランクアップするにつれてテキストの行間を読めるようになってきて、同じ1冊から教えられる質と量も大きくなるというものだ。

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