祖父と花器 251019
2025/10/19
知人を介して、苗字しかわからない女性の家へ行った。亡義母とは特に交流があったとわかった。かつて草月流のいけばなをやっていて、足が弱ったこともあり、花器の引き取り手を探していたのだそうだ。7つばかりの花器が、少し埃をかぶっていた。それを本人の目の前で吹き払うのも失礼と思い、1つずつ丁寧に受け取った。
彼女が突然「私も旧姓は玉井なのよ」。ルーツを聞き合うと、共に旧周桑郡。祖父が戦争で満州に行ったと話すと、向こうも同じだと言う。先祖は小さな山城か砦の主だったが、秀吉の四国征伐でいち早く逃げたと聞いた話をすると、向こうもそんな話を聞いたような気がすると言う。これはひょっとすると遠戚かもしれない。
今日が初対面でもあるし、どこまで盛り上がっていいものか互いに遠慮も働いて、資料や親戚の記憶に当たり直してから改めてお会いしようと思った。自分のルーツに対してこんなにもこだわりなく過ごしてきたのかと、今更ながら情けない。
草月がご縁をつないでくれた機会である。できることならば、いただいた花器には、こだわりのある花をいけたいと思う。