稽古は大事 251202
2025/12/2
いけばな歴70年の先生と話をすると、教育の問題が見える。教える側からの圧力と教わる側の甘えとの割合がこの50年間で大逆転していることに、50年以上生きてきた人は分かっている。しかし、25年くらいしか過ごしていない人には甘えの自覚はないだろう。そして、そういうことを言うこと自体が古い感覚だとして非難される。
子どもに接するとき、日本では子ども目線に合わせて屈んで話せと言われる。40年間ロンドンに住んでいる私の同級生は、イギリスの子どもは早く大人の目線の高さに合わせられるように、いつも背伸びをしているんだと言っていた。子どもに合わせていたら世の中が幼稚になるという考えが基本にあって、大人の世界に子どもを易々と招き入れることもしない。
例えば、柔道など武道の稽古で、師匠が弟子に合わせて優しく接していたら、試合での大怪我が絶えない事態になるだろう。稽古事というのは、小事ではなく大事なのである。
ある到達点に達していない者にとって未知なるもの、理解の外にあるものを知らせたいという欲望を、いけばな教室というヤワい場で出せるかどうか。