美しさの質と量 250531
2025/6/1
草月会館での講習会。講師は川名哲紀先生。私自身の作品の出来は良くなかった。いつものように考えが過ぎた自分の状態が、確実に花に表れてしまった。
講習会のテーマは「いけばなでコミュニケーション」。川名先生の言葉は、家元と同じように説得力がある。文脈を追うだけの字数がないから断片的になるが、たとえば次のようなことをお話しされた。
「百万本のバラが必ずしも大きな愛を表現しているとは限らない。愛情表現は量ではないと、日本人は考える」「日本人は言ってもいいことをあまり口に出して言わない。そのかわり控えめに、口で言わないおもてなしが十分にできる」「素材の第一印象は、いくら技術を駆使しても打ち壊せない強烈なイメージを植え付ける」「いけばなに対する誉め言葉は、『風を感じる』」「いびつな茶碗が『不完全な完全』を表しているように、完結された円というのは動きのない死んだ物体になる」等々。
投げた言葉が相手のものになるように、いけばなも出来上がった瞬間に、見た人みんなのものになる。見える花に託して見えない思いを伝えるのがいけばなであった。