自分がないという自分らしさ 251020
2025/10/20
オリジナリティを獲得する方法をどうにか学ぼうとする気持ちは解るが、他人に学ぶくらいナンセンスなことはない、ということも誰もが解る。他人の方法を真似した瞬間に、その人は独自性の土俵から転げ落ちるというのに、自分らしく振る舞うためのノウハウがどこかにあるのではないかという望みを捨てることができない。
だれ一人試みたことがないことをやってみる勇気は、多くの人が持ち合わせていない。だから、どこかで誰かがやったことの中から、あまり知られていない小さなヒントを見つけて、一部分だけこっそり真似をする。または、誰かの試みと別の誰かの試みを組み合わせてみる。
私などは、その組み合わせ方に自分らしさがあるのです、とうそぶく。たくさんのいけばな作品を見て、心に留め置こうと躍起になって、写真もバシバシ撮っておく。これが果たして役に立つのかというと、私の場合は記憶したものと違うことをやりたいと思うから、けっこう役に立つ。私には、確固とした自分があるというよりも、ないことによって、常に他人から距離を置くことで自分らしさを保とうとしている。