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いけばな随想
diary

華がある花 250604

2025/6/4

 昨日、長嶋茂雄さんが亡くなられた。ミスタープロ野球と呼ばれた偉大なプレーヤーは、監督になっても「メークドラマ」にこだわり、最後まで華があった。三振の仕方にも、脳梗塞のリハビリの姿にさえ華があった。
 比ぶべくもないが、私のいけばなに花はあるけど華がないと言われるのは悔しい。ただ、華道で華の表現が難しいのは、表面的な意味の裏側に侘び寂びを忍ばせたいからだ。趣味のいけばなと割り切れば、一方向的に侘び寂びを表現していて構わない。しかしプロの表現をする際には、侘び寂びが表現の柱だったとしても、作品には華(色気とか、エンターテインメント性と呼ぶような何か)が感じられるべきではないか。
 それは、単に豪華さや派手さではなく、見た人に特別な印象を残すというミッションに応えることである。
 私が今日、子規記念博物館の玄関いけばなで目指したのは、次のようなこと。①俳句のように、仰々しさを排す。②侘び寂びに通じる抑制を感じさせる。③ホテルのドアマンのように礼儀正しく、親しみを込めてお客様を出迎える。そんな感じに見ていただけたらいいのだが。

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