裏切者の花 250514
2025/5/14
私は裏切者である。いけばなの師匠をしていながら、いっぱしの花鋏を使っていないし、あまり研がない。いけばな教室で用意する花材は、できるだけ安く買い求める。
自慢できるのは、教室で時々提供するのは最高級の金平糖だったり、しれっと置いているアート作品は作家から直接買ったもので、かなりのお金を使っている。BGMもサブスク配信ではなく、全曲が購入したCDかレコード盤から厳選してダビングした曲をかけている。18歳頃から売買を繰り返してきたコレクションなので、かなりの手間暇をかけている。
以前、好きな花はヒナゲシだと書いたが、本当は特別に好きな花はない。いけばな展の時ですら、あらかじめ使いたい花があったりはしない。とにかく花への思い入れがあまりないのだ。だから私のいけばなは裏切者の花なのである。
小松要というフレンチのシェフはいつも、野菜や魚を地元の生産者1人1人に「なんかいいのがあったら持って来て」と発注した。で、やってきた食材たちを眺めながら、その日お客さんに振る舞うディナーの献立をつくった。そんな彼に私は惚れて毒された。