見上げ続ける 250125
2025/1/27
下から山頂を見上げた景色は神々しく、山頂から水平線を見渡した景色は壮大だ。
富士山のように圧倒的な高い山は、見上げてただ拝むしかないが、中国山地や四国山脈のように山並みが広がり続く地形では、文字通り山あり谷ありである。習い事はこの地形に似ていて、いけばなも含めて、標高の低い海辺から平野を横切り時間をかけて山裾に辿り着き、ひと山を越えたら次のひと山を目指す息の長い旅を続けるのだ。
旅路の始めには、いけばな世界の最高峰を見たことも感じたこともないから、とりあえず自分の経験の範囲で「高み」を設定するしかない。たとえば、私が見たことも行ったこともある石鎚山の高みを目標に据えるわけだ。ところが、やっとのことで石鎚山に登頂すると、遥か彼方に日本アルプスの存在を初めて感じる。そして、日本アルプスを踏破しに行く。今度はまた、富士山の高みを知って目がくらみながら次の目標に設定する。
少しでも高みに登った者は、上には上があることを知る。下の方にいる限り、雲に遮られて本当の高みは見えない。だから、せめて雲の上まで行ってみる必要がある。