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いけばな随想
diary

遠い山 251117

2025/11/17

 熊と人との遭遇が絶えない。熊への恐れから、人々の暮らしが“山”からどんどん遠くなる。
「高校生総合文化祭」の片付けで、上浮穴高校の先生と話をした。花材をどのように調達したのか尋ねると、高価だから自分の庭から切ったものも多いと言う。「花材の値段を花屋で見ると、高くてびっくりします」という言葉を、それこそ花木の宝の山だと思っていた中山間地の人から聞くとは、こちらがびっくりしてしまった。
 山には枝ものがたくさん自生していても、他人が勝手に入り込んで切るわけにはいかない。では、自分の山へ入って行って、花材としての枝ものを切る人がいるのかと聞けば、商売として成り立たないと言う。理由は2つ。“いい枝”は、車を降りて藪の上の方まで登らなければならない。一方、“いい枝”を苗から育てるのは手間と時間がかかり過ぎる。こうして、人々のささやかな商売も“山”で営まれなくなる。
 魚の天然物や養殖物はまだ買えるけれど、私たちのいけばなの材料は金があってもどうにもならないところへ来つつあるのだ。“山”と仲良くする方法を探さなくてはならない。

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