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いけばな随想
diary

閑雅ないけばな 260124

2026/1/24

 とても上品な学校の先輩がいる。1年あまり前のいけばな展で、そのご婦人がいけばなをしていることを偶然に知って驚いた。彼女の作品は、挿している花々は洗練されて小さく、それでいて周囲から際立って目を引いた。アスパラガスとアンスリウムの緑、オンシジウムの黄色、ノイバラの赤い実に対して、足首の細い黒い花器とチョコレートコスモスの暗い色とが怪しかった。その「暗く黒いリズム」は、今でも思い出せる。
 その時に感じた印象は「風雅」だったが、改めて思い直すと、あのいけばなは「閑雅」だった。風雅という言葉は、悪く言うと、ひけらかす感じのわざとらしいニュアンスが奥床しさに欠ける。閑雅の方が鄙びた感じを含んで、より精神性が高く感じられる。
 精神性とまで言ってしまうのが堅苦しいならば、侘び寂びと艶っぽさが一体的に感じられて魔法のようだった。魔法は解けると、そこには幻滅が残る。しかし、あの時のあのいけばなは、秘すことで見る者を魔法にかけて、ついに解けることなく消えてしまった。いけばなの素敵さは、謎を解く暇を与えず消えてしまうところにある。

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