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いけばな随想
diary

頭の中のいけばな 250930

2025/9/30

 頭の中に枯れた立木が1本、思い浮かんだ。頭と心が暇だったので、それを使ったイメージトレーニングを始めることにした。
 それは枯れたまま根を張っている。私はそれを動かさず、頭の中で「エアいけばな」を行う。イメージした季節は初冬で、駅裏再開発で造成工事が進む殺伐とした更地の片隅だ。そこに1本、暗褐色の幹を晒す姿は、美しいとは言い難いけれど、放っておけない寂しい魅力があった。
 枝分かれした大枝とたくさんの小枝を持つその木を、大地から引き抜くつもりはない。いっそのこと、その木を花器と見なしていけてみようと思う。そのへんに転がっている、剥がしたアスファルトの破片や事務机の残骸に混じって、誰かがオフィスで毎朝使っていたコーヒーカップやスプーンもある。そんな雑多な物たちを搔き集めて、枯れた立木に組み込んでいく。クリスマスツリーのように飾りをぶら下げるのではなく、作品の一部としてしっかり組み上げていく。その木が、小さなオフィスビルの裏庭の木だったことがわかってくる。
 私は最後に、何本かの枝先だけ残して、ほぼ全体を包帯で巻き覆った。

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