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いけばな随想
diary

飾りじゃないのよ 241022

2024/10/22

いけばな展でのお客様の会話、「ばらまいている、あの汚い土は何?」その人にしてみたら、いけばなは綺麗なものであってほしいという自然な気持ちがあっての発言だろう。「いけばな展にわざわざ来たのに、あんな土くれなんか見せられたら堪らないわ!」という憤りが含まれていたかもしれない。

しかし、芸術の表現は無限だし、作者の方は「綺麗なだけの花だったら、その部屋に綺麗な花柄の壁紙かカーテンでもあればいいの」と、うそぶくに違いない。一般的には汚いよりも綺麗な方がいいという期待があるだろうけれど、ここで指摘しておきたいのは、掃除を済ませた部屋は綺麗だけれど、美しいとは限らないこと。

人間の表情は、起きてから寝るまでに千変万化する。どんな美人だって、腹も立てるしトイレにも行く。くしゃみもすれば涙も涎も流すし、しかめっ面でうつむいているときだってある。それが生きている美しさだ。

同じように、生きているいけばなによっては、悩んでいる花もあれば悔しがっている花もある。要は、いけばな展の会場は、お花畑ではなく、作者の思想や訴えが並んでいる。

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