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いけばな随想
diary

いけばなの才能 251015

2025/10/16

 かつての私には、いけばなの才能がなかった。それは、成功と努力とをハカリにかけて、成功が努力を上回らないと感じたとき、稽古に対する情熱が低下していたことでわかる。いけばなをやっていることそのものを、仕事を言い訳に心から楽しんではいなかったという証拠なのである。
 いまは気構えが変わり、一個の自分の作品の出来・不出来を越えて、いけばな全体の隆盛を望むようになっている。自分の小さな成功や失敗という単発的なものではなく、大きな範囲の長期的な進展を指向しているつもり。
 才能のない者は成功しない、これは本当だと思う。かといって、才能がある者すべてが成功するとも限らない。そしてまた、成功というのは、それを行うことによって収入が増えることではなく、楽しく取り組んでいられるかどうかだと言うこともできる。とにもかくにも楽しんでそれができているというのは、大いなる才能だと言えないだろうか。
 私はその点、生徒さんたちに恵まれている。仕事が大変でも、彼氏を放っておいても教室に来てくれる、才能の集団である。いずれ皆さん、大化けしてくれるのだ。

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