心の余裕(1) 240218
2024/2/27
受け身で待っていても余裕は生まれないことを、私は60余年かけて学んできた。小さな物事に目が向かないのは心に余裕がないからで、私は若い頃は特に、経済的余裕のないことが心の余裕を失わせることを繰り返した。
私は大学で演劇をしたりバンド活動をしたりして、上辺では貧乏臭い文化人を気取りながら、心の中は少しでも多くのお金をアルバイトで稼ぐことで占められていた。だから、お金と時間を使う一方の芝居やバンドを、最後にはどちらもやめてしまった。
私は1983年に働き始めて、お金の量と幸せの量が比例する錯覚に囚われ、その後ワーカホリックの象徴的サラリーマンとなって42歳で急性心筋梗塞を患い、45歳の2度目の手術でリタイアした。
一方、私は40歳でいけばな草月流に入門していたが、当時は心に一切の余裕がなく、いけばなが自分の得になればいいと考えることはあっても、いけばなのために考えることはなかった。何か仕事の役に立つのではないかという期待はあまり実現せず、皮肉なことに、やればやるほど実用性から遠ざかり、私は使えない文化人になるのだった。