いけばなを撮影する 240223
2024/3/3
平面的な描画では、主題のモチーフを「図」とすれば、背景や余白が「地」となって、それぞれの占める割合が、3:7とか6:4というふうに大雑把にはわかる。その比率がどうであっても、カンバス全体を撮影しておけば事足りる。
いけばなは、花材による造形部分が「図」だとしても、背景や余白にあたる空間の「地」がどの範囲にあるのか捉えにくい。1本の枝の葉の繁りの内部にも、枝と枝の組合せの内側にも余白があるし、外部空間には境界がないので、「このへんが地ですわ」と、その時々の感覚で決めたいのは山々だけど、これが面倒で決めかねる。
だから、いけばな作品の撮影を頼まれたフォトグラファーは、みんな困る。写り込む範囲(画角)を、勇気で決めるしかない。作者自身が決めていなかった作品空間を、フォトグラファーがエイヤッと決めて撮らなければならない。撮影データの縦横比を決めるのも、フォトグラファーの仕事で、たいていの作者はそんなことに無頓着だ。
いけばなの作者は、試し撮りの写真を見てから、細かくたくさんの注文を付ける。明る過ぎるだ、寄り過ぎだと……。