いけばなとスケッチ 240424
2024/5/6
草月のカリキュラムの中に、イメージをスケッチしてから実際にいけるという課程がある。それが癖付けされていて、日本いけばな芸術協会の展覧会に出品した際にも、我々はちょっと雑ながらスケッチを描いてから臨んだ。そして、ほぼ計画通りに制作できた。また、日頃の稽古では、いけた自分の作品のスケッチを推奨している。
なぜ、そんなにスケッチにこだわるのか?
草月のテキストの冒頭には、枝や茎の適切な長さが、花器の高さや広さと対比させて規定されている。そして、基本・応用の型では、枝や茎の方向と角度が規定されている。それさえ守っておけば、どんな花材を誰がいけても、それなりに“上手ないけばな”がいけられる。
スケッチすることによって、忘れかけていた奥義を鮮やかに思い出すことができたり、自分が表現したいものが「線」なのか「マッス(塊)」なのか、それとも「色」なのかを、いま一度再確認する作業ができる。スケッチが事後であっても、自分の作品の出来栄えを、「ああ、うまくできた」というような感覚的・感情的にではなく、第三者の目で評価できるのである。