色とマッス 240501
2024/5/7
いけばなを構成する3要素「線・色・マッス」のうち、いける人が能動的につくり込めるのが線とマッスである。色は花材由来の要素なので、つくるのではなく使わせてもらう相手だ。しかし、3要素は互いに排他的な関係ではなく、とても密接に関連している。
たとえば、カスミソウでマッスをつくるとしよう。カスミソウを重ねて束ねて、空気を追い出すように密度をギュッと高めて球状につくったとする。しかし、悲しいかな、白は膨張色なのだ。その球が持つベクトルは、球の中心から外へ放射状に広がっていく。どんなに密度を高めても、重さよりも軽さを感じさせる。
それでは、カスミソウにスプレーで黒く着色して同じ作業をすると、黒は収縮色なので、ベクトルは球の中心に向かう。白い球の印象に対して、黒い球は重力(重さ)を感じさせる。
つまり、マッスの表現を徹底させるためには、明度の高い(白っぽい)色よりも明度の低い(黒っぽい)色でマッスをつくることだ。また、暖色の赤よりも、寒色の青でつくるマッスの方が沈んで重く感じられる。ここに色とマッスの緊密な関係が見えた。