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いけばな随想
diary

茶席と花 240511

2024/5/12

伊予売茶流を習っている同級生から、煎茶のお茶席に呼ばれた。彼女の差し金で正客として座らされ、緊張と楽しさの半ばした人生の初体験も味わえた。床には勝海舟の書が掛かり、香が焚かれ、芍薬の花が飾られていた。

中央の香炉の左側に香筒が斜めに置かれたので、スペースの必然として芍薬が右に飾られていた。私は、香筒なるものを道具の1つとして床に飾り置くことを初めて知った。芍薬は、ぴんとまっすぐな1本の茎に、大輪の花が九分咲きで開いていた。花筒は輪島塗である。

私の座った席には、煙草盆が置いてあった。これは、正客の席であることを示してもいるという。この歳にしてまだまだ見聞きしないものも、知らないこともたくさんあると実感した。

茶席はこのように、部屋全体をコーディネートして構えていくのだが、いけばなはどうだろう。花を中心に据えて、部屋のしつらいを全体的にいじるかといえば、そこまではしない。そこにある空間の状態に合わせていけばなをいけ、その空間をより心地よく盛り上げる役割であり、言ってみれば空間の付加価値を高める性質ではないだろうか。

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