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いけばな随想
diary

競争 240610

2024/6/11

私は競争が苦手である。いけばな展は決して競争ではないが、自分で勝手に競争しているような気分になる。自分を押し出していけばいいのだろうが、他人を差し置いて俺が!俺が!と図々しく出ていくというのが苦手で、だからいけばな展も苦手である。

出ていくことを恐れるがために、自覚なく引いてしまう。だから、私の作品は、引き算に引き算を重ねてどんどん貧相になる。そう分かっていても止められない止まらない中途半端な引き算なのだ。そのことに後で気付くのだが、いけ終わるまで無自覚なのだった。

さて、方向性として侘び寂びに徹しようとも、攻める気持ちで充実した作品をつくれば、そこにはある種の引力が働いて見る人の心を掴むことができるのだろう。多分、そこまで徹底したつくり込みができていないから、それを胡麻化すために競争を引き合いに出して言い訳しているのである。能天気だった自分はどこへ行ってしまったのだろう? この歳をしていまさら恥も外聞もないだろう?

「いけたら花は人になる」のだから、逆にいけた花が強ければ、いけばなによって人も強くなれるだろうか?

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