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いけばな随想
diary

上流と下流 240715

2024/7/15

私は30歳頃に、川カヌーを始めた。肱川での水遊びの時期を経て、アスリート系の先輩方に混じり、四万十川中流の十和村を拠点に川を下ることが多くなった。体力の落ちた30代中盤からは、川の中流から下流へフィールドを移し、河口からついに海のカヌーに乗り換えた。

さて、一昨日「森の幼稚園」へ行った続きの話だ。友人Nは、ついに自分の山を手に入れたと、車で小一時間の隣町の山奥へ私を連れて行った。私が川の中流を海へと下って行った行程とは逆に、彼は農地が広がる扇状地から里山へ、そしてついに山奥へと至ったのだった。

大雨の影響で谷川はどうどうと流れ、草ぼうぼうのガタガタ道の轍も小川となり、耕作をやめて月日が経った狭い段畑跡は湿地になっていた。彼はこれから10年以上かけて、周辺の針葉樹林も開墾していくというのだ。

流通でいえば、友人Nは樹木や野菜の生産者で川上の人間、私は市場に出され卸売・小売を経て花木を買う川下の人間である。また別の見方をすれば、私は昔開墾されて賑わった「いけばな」という土地で、耕作放棄地を掘り起こしている1人である。

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