理想の危険 240826
2024/8/26
私はアナーキストではない。しかし、理想への追求心が激しい人の危険さを知っている。私は若いころ政治家になろうと激情的に思い、23歳で衆議院議員の秘書になったから、それがどんな衝突や不幸を招くか知っている。
だから、今は半分だけ理想を追いながら、半分は現実に甘んじている。そんな態度では芸術家などにはなれないことは分かっている。芸術家は、あるときは全身全霊で理想を追い、あるときは全身全霊で世俗にまみれるものだから。それを世間から眺めると、なんて愚かなことを! というふうに映るのだろう。理想を追っている量は、芸術家も凡人も等しいことに気付かずに。
理想を追う者は、時にヒステリックだ。だから、ヒステリックないけばなも出現する。交響楽的に構成されたいけばなは、時にフォルテシモが強過ぎてヒステリックになるし、ソロで構成されたシンプルないけばなも、シャウトし過ぎるとヒステリックだ。
一流レストランの料理人のように、穏やかな変化と強弱で統一感あるコース料理を提供できるといいのだが、自我の理想に過剰に燃える表現をすると、観客が困る。