日常のいけばな 241009
2024/10/17
日常的と言うと、朝起きてトイレに行って歯磨きして……のような、惰性的な感じと混同されてしまいがちだ。しかし、毎日ほんのわずかでも生活の質が向上するような方向へと、欲張った態度でもって惰性を逃れていきたい。
今度いけばな展を開催するのだが、もちろんそこでは100点満点の作品を展示したい。しかし、それは節目の1つであって、それ以上に自覚的でありたいのは、毎日1点のいけばなを100日いけ続ける方が大事だということである。日常の毎日のいけばなで、ほんの少し新しい可能性にチャレンジしたり、ほんの少し勉強したりすることの、不断の積み重ねが本来の華道の姿なのだと思う。日常生活の質を高めること、生活に活力と創造力をもたらすこと、これこそがいけばなの原点だと思っている。
だから今、『千夜一夜物語』ではないけれど、千日修行として日々いけばなに関連させた文章を書いている。私としては、花を触るかどうかに次いで、花について毎日考えるかどうかも大事な取組となっている。
感覚は、瞬間的に働くものではない。感覚を働かせる習慣化した意識が大事だ。