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いけばな随想
diary

狂気 241112

2024/11/12

 映画『テルマ&ルイーズ』のラストシーンは、悲愴だけど至福でもある。
 年齢的に人生のほぼ全体を見渡すことができるようになった今、人生を客観的に冷静に分析する虚しさよりも、主観的に感動をもって見直したいと思う。感動は特別なことの日常に対する落差の大きさによって生まれるので、同じ体験をしても日常の基準が違えば感動の大きさも人によって違う。祭りの興奮や高揚感、人の死に面した喪失感や墜落感、卑怯者に対する怒りや蔑みなど、人には喜怒哀楽の感情が備わっている。そのどこまでをAIが勉強していけるかわからないけれど、その感情が臨界点を超えて狂気や開き直りに至る可能性を常に抱えている点については、AIが追い縋れない生身の人間の独壇場ではないだろうか。
 その点、植物界にも何かしら不思議な能力を感じることがある。先日、庭の金木犀が咲いたあと一度完全に散って、1週間後に再び満開になった。自然界の法則を無視した狂い咲きだと思った。
 常識や規則が有効な世間で普通人として過ごすためにも、時折狂い咲きするような妄想や行動に走ってみることは大事だ。

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