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いけばな随想
diary

ホームレス 241119

2024/11/19

 いけばな教室の2階のベランダで、しばしば毛づくろいや昼寝をしている若い黒猫。ホームレスの野良猫で、さしずめ住民票の住所が私の教室のベランダ、本籍はお向かいさんの玄関先だ。
 本籍地には、彼のために食事を毎日自転車で持ってきてくれるおばさんもいて、お向かいの奥さんと育ての役割がシェアされている。水色の首輪も付けてもらい、病院にもちゃんと連れて行ってもらっている。一方、住所である私の方には庭木の茂みの自然トイレが完備されているし、近所で市民権を得ているので、別宅や別荘も数知れない。甘え上手なホームレスだ。
 さて、朝日新聞の投稿歌壇に現れたホームレスについて、三山喬のノンフィクション『ホームレス歌人のいた冬』がある。また、昭和前期の華道界に分け入った早坂暁の『華日記』もある。表現欲求が優先するあまり暮らしが破綻する人もいるし、暮らしが安定しているからこそ表現行為に邁進できる人もいるということを考えさせられる本だ。
 いけばなのためにホームレスになることも厭わない、またはそれに準じるような人々が実在した。今では考えられない。

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