汀州Japanlogo 汀州Japanlogo

いけばな随想
diary

現場のいけばな 241213

2024/12/13

 いけばな展に出品することは、ひとつの大きな目標である。長時間かけて「いけこみ」を行い、2~3日の展示期間、作品を人目に晒す。
 会期中、自分で何十回も見直しながら、自作を見てくれる人の姿を横目でこっそり観察して、念入りに見てくれている人がいたら喜び、一瞥しただけでさっさと通り過ぎる人がいたらがっかりする。喜怒哀楽の大波がひっきりなしに訪れる。
 これまで稽古で身に付けてきた知識や技術が試されているので、展覧会で他人に評価されることは恥ずかしかったり怖かったりするけれど、その知識と技術を再確認する絶好の機会が、この“現場”なのだ。そこで、針の筵という言葉がぴったりするくらい究極に追い詰められたとき、マゾヒズムに没入してカタルシスをはかれるくらいになると、いい意味でパンチドランカーに成長している。
 私と同じような日本人は、叩かれ慣れていない。だから、叩かれると執念深くすねる。頑張って心頭滅却しなければならないのは、まだまだアマチュアである。右の頬を打たれたら左の頬も差し出すくらいになれば、現場を2倍に生かせる逸物である。

講師紹介