いけばなの批評 241215
2024/12/15
習い事である以上、私は生徒さんのいけばなにコメントする責務がある。頭の中には「もっと強弱、疎密を付けて」「思い切って葉を落としましょう」「花器の向きを変えてみましょうか」「表現したい主題は何?」……いろいろな指摘事項が思い浮かぶ。しかし、傲慢にならないよう賢者を装いたい私は、多くの言葉を吐くことなく暗示する態度を取りたい。
だから、いけばな制作と同じで、最後段階で言葉の引き算を試みる。足し算は際限なく盛っていけても、引き算はこれ以上引けない臨界点を越えると、意味そのものが消えて伝えたい中身も説明できなくなってしまうのは怖い。
さて、師範の有資格者は、引き算で残った私の用語が理解できるので、[私の考え]→[私が発した言葉]→[相手が聞いた言葉]→[相手の理解]というプロセスがうまく繋がる。
初心者に対するコメントの場合は、次のようだ。[私の考え]→[相手が理解できる考えに転換]→[私が発する相手に理解できるであろう言葉]→[相手は理解できる範囲で言葉を拾う]→[相手の理解には取りこぼしや取り違いがある]。難しい。