はみだしてしまおう 250109
2025/1/9
建築家の設計は、1軒の住居、1軒の店舗で完結した図面を描くのが普通だ。マンションや学校など規模が大きく公共性が高い設計では、周辺の道路や川など既存の風景の一部くらいは描き込むこともある。設計者の頭には近所の建物や街区の様子もイメージされるが、彼は業務範疇を超えてまで図面を描かない。
いけばなも「場にいける」もので、いけばなだけで自己完結しない。だけど、いけばなの周辺1メートル四方を意識するか、いけばなのある部屋全体を意識するか、いけばながある家の1軒を意識するのか、その家が建っている敷地全体を意識するのか、いける際の意識の広さで作品は変わる。
私は、知人のショットバーに花をいけさせてもらうようになって、いける際のイメージが広くなった。……自分が客の立場で店にやってくる。さっきまで騒がしい一次会だった。カラオケの二次会を離脱して1人でカクテルを飲みに来る。店は木の匂いがする。そして、自己主張の強いいけばなが目に入る……。空間の広がりだけではなく、時間経過も意識するようになった。茶で迎える亭主の気分といってもよい。