趣味の迷宮 250111
2025/1/11
旅行をしても、街の裏へ裏へと足が向くのだった。特に海外の初めて訪れる街では、地図をざっと眺めて入り組んだ路地の奥に行き止まりの小路などがあると、行って見ずにはいられない。
裏通りの汚い路面やゴミの吹き溜まりは犯罪の匂いがするような怖さがあり、床几を出して碁を打つ老人たちや狭い路地の狭い空になびく洗濯物を見上げると、無遠慮に迷宮に迷い込んだような緊張と期待で背中がぞくぞくするのだった。
山海の壮大な自然の風景も好きではあるが、そしてまた、香港や大阪難波の雑然と密度の高い都市風景も好きだが、私は都会の背中側の無秩序な(狂騒と静寂が背中合わせになった)感じにいちばん引かれる。屈託のない楽天的な自由を味わいながら、胸の中は孤独感でいっぱいになる。相反する気分で心がざわつく。
絵を上手に描ければそうしたいところで、しかし、自分にはそれをやる力量がないから、かわりに大きいいけばなをするときは、そんな感じを表現してみたいと思う。まず、奥行きと広がりは必要だろう。それから、不規則な複雑さと、予想外の花材の組合せも欲しいところだ。