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いけばな随想
diary

こなれた花 250722

2025/7/27

 先般わたしは、「着崩した花」という表現で完璧ではないいけばなの魅力、一定の粗さがある魅力について書いた。今日たまたま、ビル・エヴァンスのアルバム『Sunday at the Village Vanguard』を聴いていて、「着崩す」よりも「こなれた」の言葉が、私が言いたかったニュアンスにもっとぴったりだと思った。
 このジャズのアルバムは、私が生まれた翌年1961年に録音されたもので、ピアノトリオの演奏だ。このトリオは1959年に結成された顔ぶれで、互いのセンスとスキルが調和して、ちょうど聴き頃に熟していたのではないかと感じられる。
 彼らの演奏は、粒立ちが良く硬めに炊き上がった白ご飯のようである。つまり、間違いなく美味しい。けれども、毎日食べる白ご飯だから、ことさらの主張は意識されないまま、気付いたら2杯3杯とお代わりしているような、そんな音楽だ。
 着崩すのは、まだまだ意識的であり過ぎる。気持ち左右どちらかに傾いた眼鏡で、煙草を短くなるまで咥えたまま、かなり猫背で鍵盤に向かうビル・エヴァンスこそは、自己顕示欲も観客も無関係に、こなれた演奏に没頭しているのだった。

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