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いけばな随想
diary

好き嫌い 250724

2025/7/28

 真偽や善悪ではなく、美醜でもなく、好き嫌い。
 せちがらい現代社会に暮らしながら、正面切って「真善美を追求しています」と公言するのは、あまりにも現実離れしていてキョトンとされるに違いない。そういう漠然とした予感があるから、選挙においても差し障りのない議論レベルに落として立候補するし、投票する。政治とはそういうものだと、ぼんやり諦めている(悲観しているのではない)。
 人が表現するという点で、芸術においても、漫画の世界においても同様である。ピカソの『ゲルニカ』や中沢啓治の『はだしのゲン』のように、社会に対する真摯な思いを真っすぐに表現すると、賛同もあれば嫌悪や無視も起こる。しかし、それこそが一流の表現者の表現だ。
 二流の表現者である私は、衝突を招きかねない表現をするだけの気概も勇気も足りていないから、問題意識を薄めて、好き嫌いの範疇でやんわりと表現してしまう。作品に対する最初の観客でもある自分が、自身の不甲斐なさに少し腹を立て、少し反省してお茶を濁す。
 まずは好き嫌いを越えたいと思う自分に正直に、はみだしてみたいものだ。

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