闇夜の夢 250730
2025/7/31
闇夜を好きな人がどれくらいいるだろうか。私が闇に魅力を感じるきっかけとなったのは、ロック・ミュージックだった。
高校生になって、私の知らない世界観を持った友人に出会う機会が増え、同級生だけでなく後輩からの影響を受けることも増えた。どうしてみんなそんなにひねくれた大人なんだろうかと、不思議な気もした。そんな彼らから借りたLPレコードが、ブリティッシュ・ロックだった。ピンク・フロイド『The Dark Side of the Moon』、ディープ・パープル『Deep Purple Ⅲ』、ELP『Brain Salad Surgery』などなど、私にとっては暗黒からの使者たちだった。
30歳を過ぎてから、日本の家庭やホテルの夜が明る過ぎることに気付いた。外国の夜は暗い。昔の日本も、蝋燭で過ごす夜は暗かったと思う。暗い夜だからこそ、夢を見ることができる。時代劇などを見ても、日本の昔の家は暗かった。至る所に陰がある。そんな場所に、ひっそりと花がいけてある。現代のテレビの、明るく陰のないスタジオ装花と対照的だ。
闇夜に夢を見るような花、輪郭のぼやけたルドンの絵のような花、または古寺の襖絵のような花を夢見る。